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梅と日本人
梅の原産地は中国ですが、かなり古くから日本に伝わったようで、弥生時代の遺跡からも梅のタネが発見されています。梅の花は、冬の厳しい寒さの中でつぼみをふくらませ、春の到来を一番に告げる花。"早咲き"なので、「出世」を意味するおめでたい花なのです。花は美しいだけでなく香りも素晴らしく、『万葉集』などの和歌に数多く登場しています。中でも９０１年に菅原道真が詠んだ「東風吹かば 匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ｣は有名で、後に飛梅伝説なども生まれています。
梅を食する習慣については、９８４年、丹波康頼が著した『医心方』の中に梅干の効用が記されています。また当時、青梅をかまどの上で真っ黒に焼き燻製にした「烏梅」が,解毒や下痢止めなどに使用されました。
鎌倉時代に入ると、武家社会のご馳走として「椀飯（おうばん）」というものが出来、これはクラゲや打ちアワビなどに梅干、酢・塩が添えられたものでした。また出陣や凱旋時には、武士の兵糧や携帯食として梅の実が用いられました。江戸時代に書かれた『雑兵物語』には、出陣の際の武士は食料袋に「梅干丸（うめぼしがん）」を携帯していたとあり、これは梅干の果肉と米の粉、氷砂糖の粉末を練ったもので、激しい戦闘や長い行軍での息切れを調えたり、生水を飲んだ時の殺菌用に大いに役立ちました。
江戸時代に入ると一般庶民にも広まり、梅干はうどんやそばの薬味などに使われて需要が高まりました。中でも紀州の梅干は「田辺印（たなべじるし）」と呼ばれ、樽詰めにされて田辺港から盛んに出荷されました。江戸では、大晦日や節分の夜に梅干に熱いお茶を注いだ「福茶（ふくちゃ）」を飲み、正月には黒豆と梅干のおせち「喰い積み（くいづみ）」を祝儀物として食べました。
明治11年のこと。和歌山でコレラが発生し、1768人もの死者が出ました。この時、梅干の殺菌力が見直されて需要が急増したと伝えられています。また日清戦争の頃、軍医の築田多吉（つきだたきち）は、外地で伝染病にかかった兵士に梅肉エキスを与えて完治させたという話があります。
梅に含まれる成分
梅は昔から"三毒を断つ"といわれていますが、三毒とは「食べ物の毒」「地の毒」「水の毒」のことで、その殺菌力の強さを表している言葉です。主要成分はクエン酸、カテキン酸、リンゴ酸、コハク酸、ピクリン酸、酒石酸、ムメフラール、カルシウム、リン、カリウム、カロチン、ビタミンＢ１、Ｂ２、ビタミンＣなどです。
有機酸
クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、ピクリン酸などの有機酸は、新陳代謝を促し、また腸内の悪玉菌の働きを抑えて下痢や便秘の改善に役立ちます。中でもクエン酸は、疲労物質である乳酸の蓄積を防いで、体内のエネルギー代謝を活発にしてくれます。
カテキン酸
梅に含まれるカテキン酸には、殺菌、消炎作用があり、食あたり、水あたり等の下痢や胃酸過多、便秘によい働きがあります。
ピクリン酸
ピクリン酸は、乗り物酔い、二日酔い、食中毒などを解消し、また肝機能を活性化させて弱った肝臓の働きを助けるといわれています。
ムメフラール
梅に含まれる糖である「５−ヒドロキシメチルフルフラール」とクエン酸とが加熱されることによって結合し生成される成分で、梅肉エキスや焼き梅干に含まれています。血液をサラサラにする働きが注目されています。
その他：梅干化粧水の作り方-
� ’澳械機腺狂弔魏洪�(適量）に２〜３日漬けて塩抜きをする。
�◆￣�抜きした梅干をザルに上げて水をよく切り、広口ビンに入れる。
�� 広口ビンに日本酒（２００ml）を注ぐ。
�ぁ々�口ビンを蓋して、冷暗所に１週間ほど置く。
�ァ’澳海鮗茲蟒个靴同佞鬚躄瓩靴董¬�封容器に入れて冷蔵庫で保管する。
�Α〇箸な�は、入浴後など肌が清潔な時に、マッサージするようにして肌にすり込む。
梅干と食べ合わせ
食べ合わせは、江戸時代に貝原益軒が『養生訓』の中で広めた健康法ですが、今日ではそれほど心配するものではありません。しかし、それなりに昔の人の知恵が背景にあるとされています。例えば食べ合わせてはいけないものに「カニと柿」があります。これは、カニも柿もともに体を冷やす食べ物なので、食べ過ぎるとさらに体を冷やしてしまうのでいけないというわけです。また海のものと山のものとの組み合わせは、食材を調達するまでに時間を要してどちらかが傷んでしまう危険があるため、ともいわれています。
ウナギと梅干
もしもウナギが腐っていたら、酸味が出てきます。梅干にも酸味があるため、一緒に食べると梅の酸味のせいでウナギが腐っていることが分からず、食中毒になる危険があるためともいわれています。
天ぷらとスイカ(ウナギとスイカ)
油分の多い食物（天ぷら、うなぎ）と水分の多い食物（スイカ）を一緒に食べると、胃液が薄まって消化不良を起こすことがあります。胃腸の弱い人や下痢気味の時は、避けたほうが無難です。
トコロテンと生卵
どちらも消化が悪いもの同士の組み合わせ。消化に時間がかかるため、胃腸に負担がかかります。
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【目次】
